
声優のお仕事は、会社員のように決められた勤務時間がある訳ではありません。
学生や会社員のように、休日や祝日に必ずお休みがとれるということでもありません。
それでも、夢が叶って憧れだった声優のお仕事が毎日できるなら、
こんなにワクワクできる生活はないですよね!
“収録や撮影で、毎日色んな場所に行ける!”
“憧れだった声優さんと現場で会って、知り合いになれるかも!”
“夜は、声優仲間と食事に行ったりするのかな?”
“オフの日は、思いっきり好きなアニメを見たり、
家族を食事に招待したり旅行に連れて行ったりしたいな!”
と、様々な期待に胸を膨らませることでしょう。
もちろん、お仕事が安定して決まってくれば、
このようなワクワクした生活を送ることは可能になるでしょう。
しかし、声優スクールに通い始め、声優への道を一歩踏み出した方なら、
そこまでの道程が簡単でないこともご存知かもしれません。
では、実際に念願のプロダクション所属が決まり、
少しずつお仕事が始まると、どのような生活が待っているのでしょうか?
今回は、新人声優さんのとある1日のスケジュールを紹介します!
●新人声優さんのある1日のスケジュール
こちらのスケジュールは、あくまで、新人声優さんのとある1日を切り取ったものです。こういった生活が毎日続く訳ではないですが、
比較的多い、日常的なスケジュールと言えるでしょう。
■8:00 起床
学生さんやサラリーマンに比べると、起床時間は少し遅め。その分、イベントやロケ等があれば、もっと早朝に起きなくてはいけませんし、
それが何日も続く場合もあります。
全体的には遅いのですが、不規則なところがこの仕事の大変なところです。
■9:30 収録スタジオ入り
現場には、実際の集合時間よりも早めに到着するようにします。新人だからという理由もありますが、
何よりも遅刻は厳禁の業界ですので、入りには余裕を持つ必要があります。
早めに現場入りして、声のコンディションを整えたり、
原稿を当日にもらう場合も珍しくないので、その準備に時間を使います。

■10:00 収録
1話30分のアニメ番組でも、収録は最低3時間以上かかります。自分の出番が少しだから、早く終わるという訳ではありません。
個別のシーンの収録を終えた後は、みんなでガヤの収録を行ったりもします。
■14:00 事務所に戻って打ち合わせ
事務所には、毎日行く訳ではありません。台本を取りに行ったり、マネージャーと事前の打ち合わせをする場合に行くことになります。
人気になって、ファンレターやプレゼントが届くのも事務所です。

■16:00 スタジオでレッスン
プロの声優になっても、レッスンは欠かせません。スキルをさらに磨いたり、表現の幅を増やしていくことで、
さらに新しいお仕事の獲得にも繋がります。
また、イベントやライブの前は、入念なリハーサルも欠かせません。
■18:00 オーディション
新人のうちは、自分への指名でお仕事が入ってくることは、ほぼないと考えましょう。デビュー前のオーディションとは違い、
周りのライバルは、みんな事務所所属の実力ある声優さんたちです。
やはり、プロになってからが本当の勝負なのです。
■19:00 アルバイト
事務所所属(もしくは準所属)の声優と言っても、新人のうちは、たくさんのお仕事がある訳ではありません。
そのため、新人声優さんは、多くの方がアルバイトをして生計を立てています。
声優としてのお給料よりも、アルバイトで稼ぐお金の方が多いということも一般的です。
しかし、その反面、いつオーディションや仕事が入ってもいいように
準備もしておかなくてはいけません。
アルバイトは、ある程度融通の利く仕事か、
勤務先の従業員さんの理解が得られるところでないと続けていくことは厳しいでしょう。
■23:00 帰宅
アルバイトを終えて、ようやく帰宅できるのは、深夜近く。ようやく、少し落ち着いてご飯を食べたり、テレビやニュースをチェックすることができます。
■24:00 台本チェックやセリフの練習
声優のお仕事とアルバイトで疲れていても、仕事の練習や準備は絶対。収録現場で、新人の自分がNG連発してしまい、大先輩たちに迷惑をかけてしまった日には…。

■25:00 就寝
明日のスケジュールをチェックしたら、ようやく深夜に就寝することができます。体調管理が大切ですから、明日のためにできるだけ早く寝なければいけません。
●プロの声優になってからが本当の勝負!
今回は、新人声優さんのとある1日のスケジュールを紹介しましたが、これはあくまで一例です。日によって本当にバラバラです。
朝早くから深夜までスケジュールが、1週間以上も続く時期もあります。
様々なスケジュールがバッティングしてしまい、
番組関係者や他の声優さんに迷惑をかけてしまってはいけないので、
スケジュールをコントロールしていくことはとても大変です。
遅刻は厳禁ですし、体調管理もしていかなくてはいけません。
そういった忙しいスケジュールやプライベートも含めて
管理をするのがマネージャーの仕事ですが、頼りっきりにはできません。
特に、新人声優を担当するマネージャーは、
必ず複数の声優さんのマネージャーを兼任しています。
そのため、一人のマネージャーが、新人声優一人のために
24時間を費やしてくれるということはありません。
一人でスタジオや現場へ向かわなければいけませんし、
マネージャーが現場に立ち会えないことも珍しくありません。
つまり、新人のうちは、マネージャーに頼りつつも、
ある程度自分のことは自分でしっかりとやっていかなければいけないのです。
スケジュール管理も体調管理も含めて、自分の仕事と考えましょう。
現場でも、マネージャーがいなくても、
スタッフさんに自分から挨拶をしたり、コミュニケーションをとり、指示を仰いだり、
自分がよいパフォーマンスができるような働きかけをしてはいかなくてはいけません。

不規則な生活は大変ですが、仕事がなければ、毎日が暇になってしまいます。
声優にとってスケジュールが入らないということは、人気がなく、
必要とされていないということになってしまいますので、大変なくらいがちょうど良いのです。
また、恋愛や友人とのプライベートな時間は、
後回しになってしまいがちですが、自分の夢や目標のためですから仕方がありません。
そして、この時期に実績を出せなければ、たいてい1年くらいで、
プロダクションとの専属契約や育成契約は打ち切られてしまいます。
そのため、本当に大変なのは、プロダクションに所属してからと言えるかもしれません。
この時期を乗り越えれば、きっとあなたが理想とする、
誰よりも幸せな声優人生が待っていることでしょう!