
憧れの声優さんが、
一体どれくらいお金を稼いでいるかご存知ですか?
有名な人気声優としてお金持ちになれば・・・
“ 都内の大きな一軒家に住み、移動は大きな高級車! ”
“ プライベートでは、毎日美味しいものを食べて、たまに声優仲間や芸能人とパーティーに参加! ”
“ 休みの日は、気ままに海外一人旅! ”
・・・そんな華やかで贅沢な生活、想像しただけでワクワクしますよね?
こんな話をすると、
「ただお金を稼ぎたくて声優になりたいわけじゃない!」と
否定する声も聞こえてきそうですが、やはり、お金は大切です。
もちろん、お金をたくさん稼ぐためだけに、
わざわざプロの声優という厳しい道を選ぶ方は滅多にいないでしょう。
アニメが好き、自分の夢を叶えたい、多くの人に夢や感動を与えたいという情熱を持って
声優を目指している方が大半です。
実際に、プロの声優になって活躍している方たちも、
下積み時代に貧乏生活を経験している方がたくさんいますし、
ただお金持ちになりたいという中途半端な想いだけで乗り越えられるほど、
プロへの道は甘くありません。
しかし、お金を稼ぎ、しっかりと生活をしていくことができなければ、
声優の仕事を続けていくことはできません。
ようやく夢を叶え、せっかく自分を応援してくれるファンの人ができたとしても、
生活をしていくことができなければ、
ファンの人たちの期待に答え続けることは難しいでしょう。
以前、バラエティ番組に人気声優が出演した際、
「声優を目指して専門学校や養成所に通っている人たちは、30万人。
声優として事務所に所属・登録している声優は、1万人。
そして、日本で声優の仕事だけで生活ができているのは300人程度」
という厳しい現実を語っていたことがあります。
この数字が正確な数字かは定かではありませんが、
その業界にいるプロの感覚としても、
声優業界で生き残ることがいかに大変かということが分かりますよね。
多くの人から愛され、必要とされる声優になるためには、
業界の事情を理解したり、
将来のことも見据えてスキルを磨いていく努力が必要となります。
・・・ということで、今回は声優業界のギャラ事情についてご紹介しましょう!
●そもそも声優のギャラって?
ギャラとは、お給料のことです。残念ながら、声優業界のギャラは、決して “ 良い ” とは思われてはいません。
むしろ“厳しい”という認識が一般的です。
声優のお仕事は、
アニメ、ナレーション、ラジオ、CM、ゲームやパチンコなどがありますが、
ギャラの値段はそれぞれの内容で大きく変わってきます。
ラジオの仕事が一番ギャラは安く、その次にアニメ。
逆に一番高いのは、ゲームやパチンコのお仕事です。
今回は、アニメの仕事を例に、紹介しましょう。
アニメのギャラは、声優によってランク付けがされています。
例えば、30分のアニメに1本出演した時のギャラは・・・
「1番下のランクの声優は、1万5,000円」
「1番上のランクの声優は、4万5,000円」
「超大物声優になると、それ以上(個別に交渉)」
…と、このように声優業界でおおよそのルールが決まっているのです。
ちなみに、
1つの作品でどれだけたくさんのセリフがあったとしても、この金額は変わりません。
仮に、たった一言だけの出演だったとしても、ギャラは同じなのです(!)。
しかも、この金額は、声優が全部受け取れるという訳ではありません。
そこから事務所のマネージメント料が、引かれてしまうのです。
さらに、事務所から自分の給与口座に振込まれる時には、
源泉徴収税として10%の金額が引かれてしまいます。
では、実際に声優が受け取れるギャラの金額は、いくらなのでしょうか!?
【前提条件】・ギャラ15,000円ランクの新人声優
・事務所のマネージメント料は20%(つまり、声優が受け取れるのは80%)
・30分アニメに、1話のみ出演
⇒ 1万5,000円×80%×10%=1万800円
そう、実際に受け取れるのは、なんやかんや引かれて【1万800円】ということになります。
う~ん…かなり減っちゃいますね。
<それではこの条件で、もし、アニメの仕事だけで月20万円を稼ごうと思った場合、
月に何話分のアニメに出演すればよいかというと・・・>
⇒ 20万円÷1万800円=約19本
<毎週放送しているアニメ1作品にレギュラー出演している場合、
月4話分の放送ということになるので・・・>
⇒ 19本÷4話=約5本
つまり、1か月に約5本のアニメ番組のレギュラーを持たなければいけない(!)という計算になります。、
・・・正直、かなり大変そうですね。
ちなみに、上記はあくまで一例です。
所属する事務所によっては、事務所が受け取る割合がもっと多いところもあります。
事務所のマネージメント料は、スタッフやマネージャーさんが、
普段から営業活動をするための費用だったり、
彼らのお給料も支払わなければいけません。
なので、この部分はかかって当然の費用だと割り切るしかありません。
・・・ということで、今回は、アニメの仕事を例に挙げましたが、
ラジオの仕事は、残念ながらさらに安いです。
ラジオに1回出演しても1万円にも満たない…ということになります。
もちろん、ラジオにレギュラー出演することができれば知名度を上げることができ、
そこからさらに新しいファンを獲得できるという意味では、
ラジオのお仕事を無視することはできません。
逆に、ラジオやアニメよりも高い、CMやゲーム、パチンコのお仕事は、
ギャラの金額はあくまで目安ですが、10万円~数十万円です。
大物の声優によっては、それ以上ということもザラです。
これらのお仕事は、企業が大きく関わってきますので、
そのお仕事をすることにより、活動が制限されるという条件がつくことが多いです。
例えば、とある企業のCMナレーションの仕事を受けると、
その同じ業種の企業(ライバル企業)のCMのナレーションの仕事はできなくなるという制限がつきます。
もちろんその制約は、ずっと続くという訳ではなく数か月や、
長いもので数年という一定の期間に生じるものです。
ギャラの良い仕事だけをポンポンこなしていきたいところですが、
世の中そう上手くはいかないということです。
こういう現実を見れば、先ほど紹介した
“ 声優の仕事だけで生活ができているのは300人程度 ” という数字は、あながち本当かもしれません。
●プロの声優になるには、アルバイトを掛け持ちしないとダメ?
ギャラのことだけを考えると、なんだか声優への道が遠ざかったように感じたかもですね。しかし、実際には、現役の声優の方でも、
生活をしていくために声優のお仕事をしながらアルバイトをしている方はたくさんいます。
アニメの主演をやったとしても、声優だけでは生活できないという方もいるくらいです。
声優の収入よりも、アルバイトで稼ぐお金の方が上回っているという方もいるでしょう。
現役の声優の方ですらアルバイトをしているのだから、
プロの声優を目指している方であれば、バイトはせざるを得ないと覚悟しましょう。
その場合、どんなアルバイトを選ぶのが正解ということはありません。
ただ、声優のお仕事は、急きょナレーション録りやオーディション日が決まったり、
候補日として直前までスケジュールを確保しておかなければいけなかったりする必要があるので、
スケジュールの融通が利くものがよいでしょう。
●声優のお仕事だけで稼いで生活していくには?

今回は、声優業界のギャラ事情について紹介しました。
なんだか少し暗い気持ちになる部分もあったかもしれませんが、決して夢をあきらめる必要はありません。
そもそも声優としてのギャラは、
アニメ、ナレーション、ラジオ、CMやパチンコだけではありません。
最近では、比較的若い新人の声優の方でも、活躍できるチャンスが広がっています。
また、ソーシャルゲームやアプリの普及に伴い、声の仕事に関する需要も増えています。
例えば、水樹奈々さんにように、
歌も歌えて、自身で作詞も手掛け、
人柄やルックスもよいタレント性のある声優の方であれば、様々な可能性が広がります。
歌手としての印税や作詞の印税が収入となりますし、バラエティ番組の出演料も入ります。
他にも、写真集、ファンクラブ、ライブのグッズの売上など、様々なビジネス展開が可能になります。
もちろん所属事務所やレコード会社も、様々な展開をするにあたってコストがかかっていますので、
声優さん自身に入ってくる収入は多くはないかもしれません。
しかし、声優自身に様々な魅力やスキル、チャレンジ精神があれば、
少なくともビジネスを継続させる上での可能性は高くなります。
このように、声優が声優としての生活をしていけるように
サポートをしてくれるのが事務所(プロダクション)の存在です。
新しいお仕事やオーディションの情報を持ってきてくれたり、
あなたの新たな可能性を切り開くチャンスを後押してくれる存在なのです。
そして、その声優事務所に入るためのサポートをしてくれるのが
専門学校や養成所の存在です。
声優学校は、息が長く活躍できる声優を育成するために、
たしかなスキルを身に着けたり、
歌やダンスなど声優以外の個性を引き出してくれる機会を提供してくれます。
専門学校や養成所を選ぶ上では、
自分自身の将来像も考えながら選ぶようにしましょう。
さぁ・・・ 夢を叶えるのは、みんなの勇気!
まずは、その第一歩を踏み出しましょう。
TEXT / 内田涼一