
新人声優.com編集部が、
現役で活躍している声優さんに直撃インタビュー!
アニメやゲームなどで活躍中の新人声優「堀川かえで」さん!
【出演作品】
「れいぞうこのくにのココモン」 マメプー
「一週間フレンズ。」 岩本美穂
劇場版「たまゆら~卒業写真~」
--声優を目指したきっかけは?
声優になりたいと思ったのは小学5年生のときで、一番のきっかけは観ていたアニメの世界に入りたいと思ったことです。
もともと声を出したり人前で話すことが大好きで放送部に入っていたのですが、そこでは放送劇というものを校内放送で流していました。
先生や友達の中に「かえでちゃん本物の役者さんみたい!」って言って褒めてくれた人がいたり、卒業式などの式典で「司会をやってください」と言ってもらえたことが凄く嬉しくて、声で何か与えられる仕事に就きたいと思うようになりました。
ただ当時はアニメの世界に入りたいと思ってもどうやったら入れるのか分からなくて(笑)
「それじゃあ喋っているのは誰だろう?」と疑問に思っていたらエンドロールに名前が沢山出てきて声優という職業があるのを知り、同じ人が違う作品で全然違う役を演じているのがとても衝撃的で凄いなと思いました。
--どんな作品が好きでしたか?
『ふしぎ遊戯』です。
私には弟が二人いて、母は弟のスポーツ少年団のサッカーに付き添って色々なところに飛び回っていました。
ひとりでは可哀想だと思ったようで「これでも観ててね」と置いていってくれたDVDを観てその世界にはどっぶりはまってしまいました。
あとは『犬夜叉』ですね。冒険モノが好きです。
--憧れの声優さんは?
川上とも子さんに憧れています。
明るくハツラツとしていて芯もあって凄く元気がもらえる声だと思いました。
いつか共演したいと小学生の頃から思ってやってきたので、亡くなられたのが本当に残念です。
実は川上さんに1度だけですがファンレターを出したことがありまして、それにお返事を頂いたことがあるんです!
--声優になりたいと思ったときに最初にとった行動はなんですか?
小学5年生で声優になりたいと思ったときから資料を調べ始めていて、東京の専門学校や養成所の他に、家から近い仙台の資料をたくさん集めました。
小学6年生のときにはワークショップに行ったりして、中学1年生からオーディションに参加するようになりました。
--ワークショップを受けてみてどうでしたか?
1日限りで有名な声優さんが来てくれたのですが、声優さんの発する一言で空気が変わるんだということを間近で体験して鳥肌がたったのを覚えています。
--声優になりたいと親御さんに打ち明けた時はどんな反応でしたか?
中学の進学先を考えていく際に親に「声優になりたい」と打ち明けました。
「中学校へは行かないで早く演技の勉強がしたい」と言ったのですが、親に「中学校には行きなさい」と言われ(笑)、その代わりに月1のワークショップに通わせてもらったり凄く協力してもらいました。
高校は声優学科のある高校へ進学したのですが、学生生活がしっかりできて高校の卒業資格も取れて、それでいて演技の勉強もできるということで母がここなら良いよと言ってくれました。
家族が協力的で感謝しかないです。
--声優になると決めたときに不安はありませんでしたか?
目指し始めて突き進んでいる時は業界のこともよく分からずに好きという気持ちだけでやってこれたのですが、自分が演技の勉強をし始めて、色々なことに触れていく中で、だんだん業界というものが近くに見えてくると、声優さんの偉大さを痛感すると同時に不安を感じるようになりました。

--JTBエンタテインメントとの出会いは?
JTBエンタテインメントとの出会いは高校生の時でした。
月に3回ぐらいのワークショップをJTBエンタテインメントが開いてくれていて、それを高1から高3までずっと受けていたのが、JTBエンタテインメントの養成所に通うようになったきっかけです。
今は月曜から金曜日に専門学校へ通って週一回養成所でレッスンをしています。
--スケジュール管理は大変じゃないですか?
私は予定を詰めていくタイプで、学校・養成所・バイトで遊ぶ時間はないです。
でも、予習復習をしていると寝る時間が遅くなってしまうので、詰め込みすぎるのも良くないかなと最近思っているんですよね。
睡眠時間が少なくなるのは仕方がないのかなと思うのですが、それで集中力が欠けたら嫌だなと思ったりします。
初めてのレギュラーを頂いた時のことですが、いつもならバイトをしている時間に事務所から「今から2時間後に来れますか?」という電話をいただいて、その日はたまたまバイトが空いていたのでやはりタイミングってあるんだなと思いました。
--どんなバイトをされているのですか?
接客のアルバイトをしているのですが、バイト先には役者や歌手を目指している子が多いです。
職場で声を出してみたり、いろいろな人と接することができるので、そういったところから何か学べるのではないかなと思っています。
--『一週間フレンズ。』にご出演されていますが、現場はいかがでしたか?
『一週間フレンズ。』が初めてのアニメの収録だったのですが、ガクガクしてしまいました。スタッフや出演者の皆様にご挨拶するのもどのタイミングが良いのか悩みました(笑)。
--収録で気をつけていることはありますか?
台本を読んだりVチェックを丁寧にするようにしています。
少しでもミスを減らしたいというのもあるのですが、「こうして欲しい」という要求にすぐに対応できるように幾つかパターンを考えてから現場に入るようにしています。
現場では座る位置に決まりがあったり挨拶は自分から、ということは聞いていたのでその辺りは徹底しています。
あとはマイクワークですね。
出ずっぱりではないので空いているマイクを確認して、どこなら邪魔にならないかを考えています。収録現場は何回行っても背筋が伸びる感じがします。
--山形のご出身ですが訛は問題なかったですか?
小学5年生という早い段階で声優になりたいと思っていたのもあって、訛を良いとは思っていなかったんです。
だから方言を使わないようにしてきたのでコテコテの山形弁は喋らないのですが、地元の友だちと話をすると少し出てしまうことがあります。
でも今思うと方言も武器ですよね。山形弁をガツガツやっておけば良かったなって思います(笑)。
--発声練習はどうされていますか?
家の中では大声を出せないので呼吸法や無声音などをしています。
通っている専門学校は授業がないときは教室を開放してくれているので、そこで一番最初に演技の勉強をしたときに教えて頂いた『外郎売』とか『あめんぼの歌』とか基礎をやることが多いです。
あとは教材として色々な台本を頂いているのでそれを読んでみたり、思いついた台詞を書き起こして何パターンか考えて読んでみたりしています。
--不安に思っていることはありますか?
あります!
昔から将来の夢を書くときに『声優』と書いてきたのですが、地元が田舎なので私が知らない人も友達の友達つながりで私が「声優になりたい」ということを周りの皆さんが知っていて応援してくれているので、その分のプレッシャーがあります。
あと「事務所に所属できたから」とか「1度レギューラーが貰えたから」といってその後も声優を続けていける訳ではないですし、入れ替わりも早く、声優のお仕事だけで食べていけるかもわからないので将来大丈夫かな?という不安はあります。
--役作りはどうされていますか?
舞台の場合は一人の人物について掘り下げて、その人物から派生する友達との関係、親との関係など「その役の人生」をじっくり時間をかけて考えていきます。
声優の場合は台本を頂いてから収録までにそれほど時間がないので、キャラクターの特徴を捉えることと、その特徴を「私が演じて伝えるためにはどんな工夫ができるか」を考えています。
そして台本の台詞だけでなく「キャラクターのバックグラウンド」や「前後に何があったのか」などの気持ちを考えるようにしています。
ただ自分が表現していることがうまく伝わらないこともあって、明るく演じているつもりが少し陰の要素が入ってしまっていたり、自分が伝えたいことが伝わらないときは歯がゆさを感じてしまいます。
課題として、早く自分のイメージしたものがポンとだせるようになりたいと思っています。

--収録があるときの1日のスケジュールを教えてください。
朝10時に収録がある時は9時30分には現場に入っていたいので、5時30分には起きています。
8時から専門学校が開くのですが8時30分まで声出しをしてから収録現場へ向かっていました。
その現場は1回の収録で何話か録る現場だったので、終わりが20時位で家に帰ってくるのが24時近くになってしまいます。
寝る時間が惜しいくらいで、移動のときも常に考え事をしていて、ケータイにメモしたりしています。
なるべく無駄のない生活をしたいなと思っています。
--初めて現場に出たときはどうでしたか?
初めてアニメのお話を頂いたときは「私?私?」みたいな感じで信じられなくて、2日前くらいからドキドキが止まらず前日は寝られませんでした(笑)。
現場に入ってもドキドキしていたのですが、とにかく自分の仕事だけはしっかりしようと、ミスしないようにと気張っていました。
その気張りが元で一旦躓くと負のスパイラルに陥りそうになるので気持ちも大切だなと思いました。
--これまでで嬉しかったことは?
「友達から聞いた」とか「出演しているの見つけた」とか、私から言った訳ではないのに私が出演しているアニメを観てくれている人がいるのは嬉しかったです。
あとずっと憧れていた世界だったので、その世界のスタートラインに自分が立てていることが嬉しいです。
--逆に辛かったことは?
舞台で役作りが上手くできなくて、演技をすること自体が嫌になって、演技に対して目を背けたくなる時期がありました。
そのときに一緒にお芝居を作ってきた高校の先輩が話を聞いてくれて、一緒にそのモヤモヤを解消してくれて「やっぱり私はお芝居が好きなんだな」って思うことができました。
--今後の目標は?
これまでは、もともと外国の役者さんが声を当てているキャラクターに対して日本語版の声を当てることが多かったのですが、私がオリジナルの声優となるアニメ作品で、応援してくれている地元の友だちや親に頑張っているところを観てもらえる、地方でも放送される作品に出演することが近々の目標です。
将来的には土日の朝に放送されるアニメで戦いたいなと思います(笑)。
特技の剣道と薙刀を活かした役ができたら嬉しいです。
--記事を読んでいる皆さんへメッセージをお願いします。
この記事を読んでくださっている皆さんは役者や声優に興味があると思うのですが、私も最初は興味からで、それから好きになって、好きから自分がやりたいという気持ちになりました。
その好きという気持ちを忘れないで欲しいなと思います。
そして、応援してくれる人に対して感謝の気持ちを持って接することが人として大切だと思うので、それらの気持ちを持って進んでいけば良い方向に進むのではないかと思います。
頑張ってください!私も頑張ります!
--ありがとうございました。